意外と知らない?コットンが生まれるまでと高級コットン
こんにちは、大分です。
今回は私たちにとって最も身近な天然素材である綿(コットン)について改めて勉強してみたいと思います。
糸ができるまで(栽培から紡績)
まずは綿が糸になるまでの流れを見ていきましょう。
綿花の栽培
コットンとなる繊維は、アオイ科の植物であるワタの種子から取ることができます。ワタの生育環境としては、温暖な気候と600~1200mmの降水量が望ましく、現在の主要な産地は中国、インド、アメリカ、パキスタン、ブラジルとなっています。
種子から回収された繊維は、リントと呼ばれる長い繊維と糸にできない短い繊維に分別されます。一般的な綿繊維の長さは28mmほどですが、35mm以上のものを特別に超長綿と言い、その肌触りや光沢から高級コットンになります。
開封してゴミを取り除く
多くの場合収穫された繊維は外国へ輸出され、輸出先の紡績工場で糸になります。この輸送の際に綿繊維は圧縮されて運ばれるので、紡績工場ではまず湿度の高い室内で繊維を圧縮前の状態までふくらませます。
開封後も繊維の中には不純物が混入しているので、混打綿という作業で繊維をほぐしてゴミを取り除きます。この工程後の円柱状の繊維の塊はラップ(lap)と呼ばれています。
繊維のかたまりを糸に近づけていく
まずは梳綿(そめん・りゅうめん)という工程でキメの細かい櫛(くし)に通すことで繊維の向きをそろえて、スライバーと呼ばれる棒を作ります。ここまででほとんどの不純物は取り除かれます。
次は練条(れんじょう)に移ります。この工程では先程作った複数のスライバーを1つにまとめていきます。複数のスライバーをまとめる際に強く引っ張りながら、繊維の向きをさらに平行に近づけていきます。このスライバーをまとめることをダブリング、強く引くことをドラフトと呼びます。
最終仕上げ
ダブリングとドラフトを繰り返していくと、粗糸と呼ばれるひねりの弱い糸ができます。この工程を粗紡と呼び、粗糸を目的に合わせてさらに強く撚(よ)ることを精紡といいます。強く撚るとシャリ感の強いしっかりとした生地になり、弱く撚れば柔らかい質感になります。最後に精紡した糸をスピンドルに巻きつけて完成です。
世界の高級コットン
綿の品質を表す指標に繊維の長さがあります。一般的な長さは28mmほどなのですが、35mmを超える長さをもつ綿を特別に超長綿と呼んで区別しています。
シーアイランドコットン
Sea Island Cotton(海島綿)は数あるコットンの中でも最高の品質のものとして知られています。この品種の原産地はカリブ海の西インド諸島ですが、イギリス植民地時代のアメリカのシーアイランド地方(現在のフロリダ~サウスカロライナ)で栽培されたことが名前の由来です。その柔らかさや光沢などの優れた特徴から、英国王室にも愛されていした。しかし、アメリカでの栽培は壊滅的な害虫被害により一時途絶え、今ではカリブ海を中心とした限られた地域で栽培される希少なコットンとなりました。
有名なブランドでは、ジョンスメドレーがその春夏アイテムにシーアイランドコットンを使用しています。
エジプト綿
エジプトのナイル川付近で栽培されるコットンもエジプト綿と呼ばれ有名です。特にGIZAと名の付くブランド綿はその生産工程にもこだわったオーガニックコットンとなっており、ISOなど様々な認証を得ています。GIZAは開発順に番号が与えられていて、現在はGIZA45という品種が一般的となっています。
スーピマコットン
スーピマコットンはSuperier Pima(ピマを上回る)を省略したもので、米国スーピマ協会の承認を得たものだけが名乗ることのできるコットンです。日本ではユニクロからスーピマコットンを使用した商品が多く発表されていますよね。